都の剣〜千年越しの初恋〜
「どいたどいた〜!!美の神・ヤマトタケル様のお通りだ〜!!」

「さあ行くよ〜!!」

自分の身長よりはるかに大きな剣を振り回しながら、ヤマトタケルとキングが走ってくる。そして、その剣をヤマタノオロチに叩きつけるように斬りつけた。

ヤマタノオロチから赤黒い血が流れ、八つある首の一つが苦しみだす。

「ギャアァァァァァァァァァァァァ!!」

ヤマタノオロチの苦痛による大きな叫び声に、沙月は耳を塞ぐ。その刹那、「まずい!」と葉月が言い、沙月の腕を掴んで地面に伏せた。

ヤマタノオロチの体から、黒い光線があちこちから飛び出す。その光線は青空を黒く染め、地面にある草花を枯らし、木を石に変えた。

「なっ……」

辺りの光景が一瞬にして変わったことに、沙月たちは驚きを隠せない。それは、遠くで様子を見ているイザナギたちも同様だろう。

「……これが、オロチの力……」

葉月がそう呟いた刹那、ヤマタノオロチの周りに負の空気に負けた動物霊や悪霊たちが姿を見せる。戦いの場は、一瞬にして姿を変えてしまった。
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