都の剣〜千年越しの初恋〜
幸子と春太郎が言うと、「ゲェッ!あいつ、さっさといなくなってくれないかな…」と掃除中は何も言わなかった葉月が嫌そうな目をしていた。

気が重いのは、沙月も同じだ。しかし、邪険には扱えないのだ。

スーと呼ばれている男性は、本名はスサノオノミコト。彼は神様なのだからーーー。

そう、この家には神様も住んでいるのだ。



家に入ると、おじいちゃんが「もうご飯はできているよ」と言いながら廊下を歩いて行った。

「お腹ペコペコ〜」

沙月がお腹をさすると、「今日のご飯は何かしら〜?」と桜姫も言う。お母さんの作るご飯は、人間にも妖怪にも好評だ。

居間では、お父さんがテレビのニュースを見ながらご飯を食べている。その前には、日本なのになぜかアロハシャツを着て黒い袴をはいた変人ーーースサノオノミコトがいた。

「お父さん、お母さん、おはよう!スーさん、おはようございます」

沙月はそう言って微笑む。葉月は、沙月の両親と祖父母にだけ挨拶をした。葉月はスーのことが大嫌いなのだ。なぜならーーー。
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