都の剣〜千年越しの初恋〜
「……おい」

葉月は体を震わせながら、近くにいたスーの胸ぐらを掴む。

「は、葉月!?」

沙月が驚いて声をかけるが、葉月はそれを無視しスーに言った。

「テメェが戦った時もこんな感じだったのかよ?テメェはどうやってあの化け物を封印したんだよ!?教えろ!!」

怒鳴る葉月を、みんなは術がかけられたように見つめることしかできない。それからしばらくして、固まっていたスーはゆっくりと葉月の手を解き、言った。

「僕の時はもっと簡単に倒せたよ。それは三種の神器の一つ、草薙の剣があったからね」

「三種の神器……?」

首を傾げる沙月に、ツクヨミが説明してくれた。

「三種の神器とは、私のお姉様・アマテラスが持ったと言われる鏡・剣・玉のこと。強力な力を宿した秘宝で、その秘宝の姿を見ることができるのは神でもごく一部だけなの」

葉月はまたスーに詰め寄る。

「神話では、お前は草薙の剣を確かに持っていた。今も持ってんだろ?それさえあれば、都も俺と沙月の未来も守れるはずだ!どこにあるんだよ!!」

確かに、強力な力を宿した剣ならば、どんなに邪悪な存在でも勝つことができるかもしれない。沙月の胸がドクンと音を立てる。

しかし、スーは申し訳なさそうな目をしていた。
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