都の剣〜千年越しの初恋〜
「……実は、三種の神器は姉上が力を使い過ぎて眠ってしまった時に跡形もなく消えてしまったんだ。三種の神器は全て姉上のもの。誰からも奪われないようにするために消えたんだと思ーーー」

スーが言い終わる前に、葉月はスーを突き飛ばしていた。そして、ヤマタノオロチのもとへと走り、攻撃をまた始める。

「ふざけんなっ!!何のための神だよ!クソが!!」

怒りに任せ、葉月は攻撃していく。その刹那、ヤマタノオロチに吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

「葉月!!」

沙月は葉月に駆け寄る。大きな怪我はなさそうだ。しかし、葉月は地面に体を打ち付けた痛みに顔を歪めている。

「葉月……」

静かに、金次郎が声をかけてきた。その手には長い巻物が握られている。

「金次郎!」

沙月は、金次郎がずっとヤマタノオロチの対策を調べていてくれたことを思い出し、「どう?対策はあるの?」と期待を持って声をかける。しかし、金次郎は首を横に振った。

「草薙の剣がないと、ヤマタノオロチは封印どころか倒すこともできない。……そう、オモイカネ様と見つけた」

沙月の目の前が真っ暗に染まっていく。もう一度色を取り戻せたのは、「クソッ!!」と叫ぶ葉月の怒りだった。
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