都の剣〜千年越しの初恋〜
「サシャ、ツキヤ」

気がつけば、隣にイザナギとイザナミが立っていた。二人は戦うことなく部下の報告をただ聞いている。

「この日本を作った私たちなら、ヤマタノオロチを封印できるが?」

ニヤリとイザナギが笑う。沙月はこの戦いは勝ち目がなく、イザナギに全てを諦めさせるための作戦だったと今になって理解した。

「……わ、私……」

沙月は震えながら葉月を見る。葉月と引き離されることは、目の前をゆっくりと進んでいくヤマタノオロチよりも怖い。

「諦めるわけねぇよ……」

葉月は沙月の肩をそっと抱き寄せる。

「最後まで諦めないって決めたんだ!!」

葉月のまっすぐな目を見た後、イザナギは「まあ、せいぜい足掻くんだな」と嗤いイザナミとともに姿を消した。

「諦めねぇぞ。俺は、絶対にお前との未来を諦めたりしねぇ」

葉月はそう言い、沙月を見つめる。葉月の手がそっと沙月の頰に触れた。

「……私も、あなたとともに歩みたい!」

沙月の言葉に、葉月は安心したように微笑んだ。
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