都の剣〜千年越しの初恋〜
それは、神々だけでなく葉月と沙月、そして妖怪たちも同じだ。たくさん体に傷ができ、沙月と葉月の着ている軍服はもうボロボロだ。それでも、何度も立ち上がり戦い続ける。

「絶対に……負けない!!私は大好きな人と生きていく!!」

そう叫び、沙月はお札を手にしてヤマタノオロチに攻撃する。お札をヤマタノオロチに貼り付け、呪文を唱える。お札は光り輝き、その光を見た悪霊たちは次々に悲鳴を上げて消えて行った。

「沙月……!ああ、絶対にそうするんだ!!」

葉月もお札を貼り付け、沙月に笑顔を向ける。その笑顔は、こんな時にでも沙月の胸を高鳴らさせるものだった。

貼られた二つのお札は輝き続け、闇の濃くなった草原に光を放っていく。その眩しさに霊だけでなく、神々や妖怪たちも目を閉じるほどだった。

しかし光が消えた刹那、そこには深い闇がある。ヤマタノオロチは何もなかったかもように歩き続けるのだから。

そのたびに沙月は挫けそうになる心を押さえ、葉月を見つめる。葉月との幸せな未来を想像し、気持ちを奮い立たせた。
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