都の剣〜千年越しの初恋〜
そのたびに葉月の体にヤマタノオロチの攻撃により、傷が増えていく。沙月の体が震えた。

「……葉月……やめて……」

沙月の頰を涙が伝う。真剣にヤマタノオロチに攻撃を続ける葉月の頰を、黒い光線が走った。葉月の頰に赤い鮮血が流れる。

「グアッ!!」

葉月の体が吹き飛ばされた。

「葉月!!」

沙月は泣きながら葉月に駆け寄る。その体には数え切れないほどの傷があった。痛々しい傷からは、血があふれて流れていく。

沙月は周りを見渡す。神々も、妖怪たちも、みんな傷つき、苦痛に顔を歪めていた。

大切な人たちを、私のせいで……。

沙月の体が震える。もうこれ以上、誰にも傷ついてほしくない。沙月はイザナギの方を見つめる。イザナギとイザナミは真面目な表情だった。沙月は覚悟を決め、葉月に言う。

「……葉月、もういいよ」
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