都の剣〜千年越しの初恋〜
ヤマタノオロチの体に傷ができては、一瞬で消えていく。葉月は絶え間なく攻撃をしていくが、ヤマタノオロチに攻撃され、地面にまた叩きつけられた。

「葉月……!!」

沙月は葉月に駆け寄る。さっきよりもひどい怪我だ。沙月は震える声で呪文を唱える。少し、葉月の傷が癒えた。

「……葉月……」

苦しそうな呼吸をする葉月に、沙月は何を言っていいかわからず、苦しげな葉月と攻撃を受け続けるヤマタノオロチを交互に見つめる。葉月はこんなにも苦しんでいるというのに、ヤマタノオロチは朝と何も変わっていない。

「苦しいでしょ?」

泣きながらそう言う沙月に、「バーカ」と葉月は笑う。そして、指でそっと沙月の涙をぬぐった。

「……こんなの、お前と永遠に引き離されることに比べたら蚊に刺された程度だよ!」

そう言い、葉月はゆっくりと立ち上がる。その体は何度も倒れそうになり、沙月も葉月を支えるために立ち上がった。

「……俺は」

葉月は沙月を見つめる。頰は赤く染まり、鼓動は早まっている。その口がゆっくりと動いた。
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