都の剣〜千年越しの初恋〜
「あなたの望む未来は何?」

その問いに、沙月は目の前にいる葉月を見つめる。これ以上傷ついてほしくなかったため、沙月は負けることを受け入れようとした。しかし、それを葉月は「嫌だ」と言った。「二人で生きたい」と言った。

「私は……」

沙月は涙をぬぐう。そして、しばらくの間目を閉じ、耳に意識を集中させる。戦いの音、神々や妖怪たちの息、ヤマタノオロチの放つ闇ーーー。

沙月が目を開けると、葉月が一番に見えた。不安げな表情で沙月を見つめている。沙月はぎゅっと拳を握り、ヤマタノオロチに向かって走って行った。

「沙月!!」

葉月もすぐに走って追いつき、沙月の腕を掴む。二人の鼓動が重なった。

「……お前の望んでいることって何なんだよ?」

葉月の問いに、沙月は震えながら振り返る。そして、言った。

「私、今さら前世でしてしまったことなんてどうしようもできないし、神様になんてなりたくない!それでも……」

沙月は葉月に思い切り抱きつく。葉月は驚いた様子を見せながらも、しっかりと受け止めてくれた。
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