都の剣〜千年越しの初恋〜
ヤマタノオロチは、もがき苦しんでいた。アマテラスとツクヨミの光はどんどん強くなっていく。あっという間にヤマタノオロチは動きを止めてしまった。

「すごい……」

誰かの呟きに、全員が頷く。

「よし!風を起こす!」

嵐猫とシナツヒコが優しい風を起こした。剣を握りしめたままの沙月と葉月はふわりと浮き上がる。

「奴は五番目の首を落としたらいいんだ」

葉月が緊張したような声で言う。沙月は、「もう勝負は私たちの勝ちよ」と力強く言った。

奇跡が起きてアマテラスが現れ、草薙の剣を貸してくれた。このチャンスを無駄にするわけにはいかない。沙月は強く剣を握りしめる。

「葉月……」

「何だ?」

「私、いつでも大丈夫よ」

「ああ、俺もだ」

五番目の首の上で、二人は斬るタイミングを探していた。地上からは期待と不安の混じった眼差しを向けられ、二人は何度も深呼吸を繰り返す。

「なら、そろそろ終止符を打とう」

葉月が沙月を見つめ、笑う。千年前の罪が今、終焉を迎える時が来た。ドクドクと沙月の体を流れる血が早くなっていく。
< 129 / 138 >

この作品をシェア

pagetop