都の剣〜千年越しの初恋〜
その刹那、「こら〜！僕の沙月ちゃんに〜！！」とスーが怒り出した。葉月が「うるさい！黙れ！」と怒鳴る。

スーは、沙月が家の前に倒れていたのを介抱した時に沙月に一目惚れをして家に居候するようになった。神様が来たことに両親たちは感激し、居候を許可している。

たわいもない話をしながらみんなで朝食をとっていたのだが、ふと沙月は今朝見た夢のことを思い出した。

「そういえば、また同じ夢を見たよ。サシャとツキヤの夢…」

その刹那、妖怪たちとスーの表情が曇る。葉月が「俺も同じ夢を見たぞ」と言うと、さらにその表情は険しくなった。

サシャとツキヤの夢は、驚くことに葉月も幼い頃から見ているという。沙月が、葉月と初めて会った時に感じた運命は同じ夢を見る者同士だからだと思っている。

「悪霊の気配などはないし、運命的な何かじゃないか？」

お父さんはそう言いながら笑った。しかし、妖怪たちの表情は固いまま。

「沙月、葉月くん。学校に遅れるわよ？」

おばあちゃんの言葉に時計を見ると、もう着替えなければならない時間だ。慌てて沙月は味噌汁を胃の中に入れる。

「ごちそうさまでした！」

葉月と一緒に立ち上がり、部屋へと向かう。そして素早く巫女の袴などを脱ぎ、学校のセーラー服に着替えて葉月と一緒に家を出た。
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