都の剣〜千年越しの初恋〜
「さよなら、ヤマタノオロチ……」

沙月と葉月はそう同時に呟き、ヤマタノオロチの首に向かって剣を振り下ろしながら落下していく。それは、一瞬の出来事だった。

ヤマタノオロチの首が一瞬にして取れ、赤黒い血が流れ出す。そして、ヤマタノオロチは苦痛の叫びを上げ、その姿は徐々に黒い靄に変わっていった。

「……終わった?」

静まり返る中、沙月が呟く。

「ええ、都の平和は守られました」

アマテラスの声に、全員が勝利を実感する。そして、疲れも忘れて勝利を喜んだ。

「沙月!!」

葉月に沙月が抱きつく。そして、沙月の頰を包むとそのままキスをした。沙月は幸せで満たされ、胸を高鳴らせる。

「……全部、終わったからな」

葉月も幸せそうに笑っていた。

「葉月だけずるい!」

「俺らも〜!!」

妖怪たちも次々に沙月に抱きついてきた。沙月は「わっ!」と驚くが、嬉しさの方が大きい。

「沙月ちゃ〜ん!僕も〜!!」

スーが勢いよく沙月に抱きつこうとするが、「変態!!」と葉月が叫んで蹴りをお見舞いする。
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