都の剣〜千年越しの初恋〜
四章 罪人と審判
沙月は白い着物から黄色い菊の花柄の青い着物に着替えさせられ、そのまま城の外へと連れ出される。

城の中や外の景色は、沙月がサシャの記憶を通して見たものと同じだ。沙月は、自分の前世がサシャであることは真実だとわかった。

まるでタイムスリップしたかのような格好のまま、沙月は牛車に乗せられる。

「えっ？どこに行くんですか？」

そう訊ねても、沙月は答えを教えてもらえなかった。そのまま牛車は動き出す。沙月は外の景色を眺めながら、戸惑う気持ちを押さえつけた。

気づけばあの世に連れてこられ、姫扱いされている。あの世以外ではありえない光景だ。

道を行く人々が、牛車が通るたびに深々と頭を下げていく。沙月は居心地の悪さを感じた。

城からかなり離れた場所までやって来た。店が並ぶ賑やかな城下町とは違い、辺りには田畑が広がっている。

「……ここは……」

サシャの記憶には登場しなかった場所だ。沙月の心に嫌な予感が走る。
< 59 / 138 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop