都の剣〜千年越しの初恋〜
シナツヒコは、普段は無口で表情もあまり出さない。しかし、今は驚いた顔をイザナギに見せ、何より話している。それほど大きな出来事があったのだ。

「何があった、シナツヒコ」

イザナギは驚くことなく冷静に訊ねる。シナツヒコは言った。

「それが……何千年も前に封印したはずの、あのヤマタノオロチが復活しているのです!!」

「何!?」

そう言われ、イザナギは血相を初めて変える。そしてシナツヒコとともに会議室へと走った。

会議室は、いつもとは打って変わって騒がしくなっていた。どの神も驚き、慌てている。

「イザナギ様!!これを!!」

水の姫神・オカミノカミが会議室に置かれた鏡をイザナギに見せる。その鏡は八咫の鏡と言い、真実を映す鏡だ。

その鏡の中に、草原をゆっくりと進む巨大な大蛇の姿があった。その首は八つに分かれている。

「どうなさいましょう!!このままでは城下町にやって来るのも時間の問題です!!」

多くの神々が口々に言う。このままでは、大蛇に町が破壊されてしまう。
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