都の剣〜千年越しの初恋〜
「アマテラス様の妹さんなんですか?」

「うん、そうだよ〜」

驚いたままの沙月に、ツクヨミは明るく笑う。

アマテラスオオミカミ……日本神話の中で一番偉いとされる太陽の女神様だ。なぜ太陽が一番偉いかというと、人間の生活になくてはならないものだから。アマテラスが怒りのあまり一度岩の中に閉じこもってしまった時は、神々が集まって知恵を出し合いようやく世界に光が戻ったという。

そんなすごい神様が来てくれるなんて、と沙月は着替えていないことを後悔した。

「今ね、サシャ様がすごく苦しいの知ってるんだ」

ツクヨミから明るさが少し消える。沙月の手に、そっと温かいものが触れた。ツクヨミが手を重ねたのだ。

「私のお姉様も、今、ずっと眠ったまま起きないの。……力を使いすぎて」

ツクヨミの目から涙がこぼれる。沙月は「そうなんですか」と言い、ツクヨミをまっすぐに見つめた。大切な人と当たり前に触れ合えなくなった痛みは、一番沙月がわかる。
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