都の剣〜千年越しの初恋〜
五章 彩り
目を開けると、豪華な和室が広がっている。この光景にやっと沙月は慣れてきた。

今までは、いつも目を覚ますたびに泣いていた。しかし、今日は違う。

沙月は部屋を出ると、すぐに隣の和室の襖をそっと開けた。そこには布団が敷かれていて、葉月が寝息を立てている。葉月がいることに沙月はホッとしながら葉月のそばに行き、葉月の寝顔を見つめる。

「葉月って寝顔幼いよな〜」

火影がいつのまにかそばにいて、沙月と一緒に葉月の寝顔を見ていた。

「火影、いつからいたの?」

訊ねる沙月に、「みんないるぜ!」と火影は答える。気がつけば、妖怪全員が葉月の部屋に集まっていた。

「わっ!」

突然現れた妖怪たちに、沙月は驚く。妖怪たちは「おはよう」と笑顔で言った。

「葉月、全然起きる気配ないね〜」

つららがそう言うと、「じゃあいたずらし放題だな!!」とひとめが目を輝かせる。

「まずはおでこに「魚」と書いて〜」

どこから出したのか、油性ペンで葉月に落書きしようとするひとめをお雪が「やめなさい」と止める。
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