都の剣〜千年越しの初恋〜
「そうです〜。葉月は疲れてるです〜」

「休むのが一番です〜」

春太郎と幸子が口元に人差し指を当てる。その光景に、沙月は胸がほっこりと温かくなった。少し前なら、あり得なかった光景。

「我々は邪魔者だ。二人にしてやろう」

嵐猫がそう言い、朧が賛成して部屋から出て行く。一人、二人といなくなり、部屋は沙月と葉月の二人きりとなった。部屋の中には、規則正しい葉月の寝息が響いている。

「ずっと閉じ込められて、きっと眠れなかったよね……」

沙月は葉月の手首を見る。手錠で長時間拘束され、痛々しい傷ができていた。それを見るたびに、沙月の胸が痛む。

泣き出しそうになった沙月の頭を、ふわりと大きな手が撫でた。

「……ん。おはよう、沙月」

葉月が優しく笑いながら言った。沙月も「おはよう!」と笑う。

「なんか、変な感じだ。目が覚めてすぐに沙月がいるなんて……」

葉月がそう言ったので、「新婚さんみたいじゃない?」と沙月がふざけて言うと、葉月は「バカ」と顔を赤くし沙月から顔をそらした。
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