都の剣〜千年越しの初恋〜
スーはへなへなと音を立ててその場に座り込む。イザナギはそれを無視して言った。

「お前たちにとって、これは最初で最後のチャンスだ。このチャンスを逃すというのならば、ツキヤはまた牢へ、サシャはこの城での暮らしになる」

沙月と葉月は顔を見合わせる。そこに、迷いなどは一切なく二人の目は凛としていた。

「ヤマタノオロチを封印します!必ず!」

沙月はイザナギを目を見て言う。

ヤマタノオロチがどんなものかはわからないし、葉月の話を聞いて怖いと思ったのは事実だ。しかし、このチャンスを決して無駄にはしたくない。そんな強い思いが、互いを結び付けていた。

「よかろう。……三日後にここを出発する。準備をしろ」

イザナギにそう言われ、二人は同時に「はい」と答え、イザナギの部屋を後にした。イザナギの目が、少し優しくなっていたと沙月は思う。

廊下に出た沙月と葉月は、しばらく黙って廊下を歩いた。沙月は言いたい言葉がたくさんあり葉月の方を見るが、なぜか緊張して言えない。
< 77 / 138 >

この作品をシェア

pagetop