都の剣〜千年越しの初恋〜



次の日、沙月はドキドキしながら鏡の前で髪を結っていた。色とりどりの羽をした鶴の柄の着物を着ている。

「デート……!なんか、夢みたい」

沙月がそうひとりごとを呟いていると、「準備できたか?」と葉月が襖の向こうから訊ねる。

「うん!できたよ」

沙月がそう言い襖を開けると、黒い着物を着た葉月の目が大きく見開かれる。そして、頰を赤くした。

「ねえ、どうかな?髪もいつもと違って結ってみたんだよ!」

沙月がそう言いながら葉月に抱きつくと、葉月は「わかった!わかったから!」とさらに顔を赤くする。

「に、似合う!!」

素早くそう言うと、葉月は先に走って行ってしまった。沙月はクスクス笑いながら後を追いかける。

楽しいデートの始まりだ。



二人は、前世でツキヤとサシャが行っていたデートコースを巡っていた。河原で手をつなぎながら散歩をしたり、甘味処であんみつを食べたり、サシャとツキヤも楽しいと思いながらデートをしていたんだな、と沙月は思う。
< 89 / 138 >

この作品をシェア

pagetop