都の剣〜千年越しの初恋〜
次の日、沙月はドキドキしながら鏡の前で髪を結っていた。色とりどりの羽をした鶴の柄の着物を着ている。
「デート……!なんか、夢みたい」
沙月がそうひとりごとを呟いていると、「準備できたか?」と葉月が襖の向こうから訊ねる。
「うん!できたよ」
沙月がそう言い襖を開けると、黒い着物を着た葉月の目が大きく見開かれる。そして、頰を赤くした。
「ねえ、どうかな?髪もいつもと違って結ってみたんだよ!」
沙月がそう言いながら葉月に抱きつくと、葉月は「わかった!わかったから!」とさらに顔を赤くする。
「に、似合う!!」
素早くそう言うと、葉月は先に走って行ってしまった。沙月はクスクス笑いながら後を追いかける。
楽しいデートの始まりだ。
二人は、前世でツキヤとサシャが行っていたデートコースを巡っていた。河原で手をつなぎながら散歩をしたり、甘味処であんみつを食べたり、サシャとツキヤも楽しいと思いながらデートをしていたんだな、と沙月は思う。