都の剣〜千年越しの初恋〜
テントの外からは、激しく戦っている音が響いていた。沙月は慌ててテントの外に出る。

外は、静けさをすっかり失っていた。結界がなぜか破かれ、黒い靄に包まれた動物霊たちが神々に襲いかかっている。

「何あれ!!」

沙月は恐怖のあまり叫ぶ。嵐猫が沙月の肩に飛び乗った。

「おそらく、ヤマタノオロチの負の空気に耐えられなかった霊たちだ」

葉月がそう言い、戦うためにお札を取り出す。

「私も戦う!」

沙月は葉月の手を掴んだ。その目はもう怯えてはいない。今は怯えている場合ではないのだ。

「おらぁ!!」

「え〜い!!」

神々の戦う声が沙月の耳に嫌でも入り込む。同じ女性であるツクヨミ、サクヤ姫、オカミなどの姫神も戦ってるいるのだ。自分だけ守られるわけにはいかない。

「わかった。……行くぞ!!」

葉月が走り出し、その後に沙月と妖怪たちも続く。

葉月が一瞬で猫の霊を次々に除霊し、沙月もお札で応戦する。妖怪たちも、炎や風を起こして戦い続けた。
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