ヴァルハラ☆トライアル
「え?!ちょ……
せめてヒノキノ棒くらい下さいよ。

素手じゃあ、スライムだって倒せ……いや?
……スライムは、蹴り飛ばせば何とかなるか…

なんかコウモリみたいなヤツとか
空飛んでるヤツとかムリですからね?!
棒!!ヒノキノの棒!!
ってかその杖、下さい!」

彼は訳の分からない事を
わめきながら、だだっ子のように
シリウスにすがり着き…

杖を奪おうとした。

なにせレベル1からのスタートで
丸腰なのだ。
そして、自分が素手でやっていけるような
武道家ではない事も直感でわかっていた。

『ひ、ヒノキノ棒?』

『あ!』

『 駄目ですよ…!!
こ、これは私のですよ!』

シリウスも
スルースキルをマスターしたばかりなので
熟練度が足りず……

思いっきり絡まれていた。


『そ、空を飛ぶモノは…

空を飛んで蹴りとばしたら
よろしいのでは?』

わちゃわちゃの攻防戦で
双方、息切れしながらも
シリウスは、何とか杖を死守した。

「なるほどその手が……!!

っておーーい!じゃあ翼を下さいよッ
俺にも大空を飛べる…
天使の翼をぉぉ……!!」


彼は恨めしそうに…

もとい 羨ましいそうに
シリウスの6枚の翼を見つめるのであった。
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