ヴァルハラ☆トライアル

『フフフ♪
でも、その後も
僕の所に油揚げを持って
来てるからね♪

前世も、前前世も。その前も。

まぁ……僕…

ホントは
ネズミの方が好物なんだけど』

そう言うと、チラリと
彼の頭の上…
灰色の毛むくじゃらを見て
ぺろりと舌をなめずった。

完全に、獣が獲物を狙っている目だ。

トンは殺気を感じたのか、
ビクッとなり、
シリウスの方へ飛んで逃げた。


「むむぅ……小僧…!! いや…小娘か…
まぁ…どちらでもよいわ…

儂にも、なんぞ献上の品は無いのか

よし。無ければ、その身を捧げよ」


こちらはこちらで
完全に、ただの負けず嫌いである。

有無も聞かず、
彼を抱き寄せた腕に
さらに力が入り、身動きが取れない。
こめかみに、信長の髭を感じるほど
顔が近づいていた。


「ちょ……?!信長さま!
俺はその…男でして……いや、女なんですが…
いやいや、でも男なんです!!」

彼は顔を真っ赤にし、
必死に抗ってみたが…


「儂は、どちらでもかまわぬ」

「ぎえぇぇ!!」

森蘭丸の話しが、彼の脳裏をよぎる。
そう言えば、織田信長は両刀であった。


「シ、シリウスさぁーーん!!」

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