ヴァルハラ☆トライアル
~華天の城~
「ふ……こやつめ…
今回は桃で、儂から逃げ仰せたか…」
何か思い出したかのように
にやりと笑い、
桃を鷲掴むと、信長は彼を解放した。
「………今回…?」
『へーー♪
じゃあ、のぶ♪
前回はナニで逃げられたのかな?』
また、九尾の狐が
ニヤニヤと挑発すると、
また、信長が一気に不機嫌になった。
「逃・が・し・てやったのだ…!
こやつが、年端もゆかぬ幼子の頃…。
こやつの住む美濃の
あばら家に立ち寄った時だ。
…知ってか知らずか…
"何も無いから"と
儂に"山吹の花"を摘んできおった」
『フフフ♪
~七重八重 花は咲けども 山吹の~♪
あの話、
知ってたら、すごい挑戦的だよねぇ♪
知らなかったら、そりゃ誰かの加護だねぇ♪
どっちにしろ 手が出せなかったんだ~♪』
信長は「フンッ」とすねた様に
天守の回廊から
外をにらみながら、桃をかじった。
「………ぜんぜんわからん……」
彼には全くわからない話しであった。
そんな記憶すらなかったのだ。
どうやら、"知らずに"の方で
信長に、山吹の花を贈ったようだ。
『私も何の話しだか
わかりませんが…
そう言えば…
ここで、山吹の花を咲かせていた方が
いらっしゃいましたねぇ……
確か名前は……太田道灌…でしたか』
「……いや……誰……?(´_ゝ`)」