ヴァルハラ☆トライアル

シリウス曰く、

もともと天界に居る神や
天使のような存在は
人類が、消滅しようとも
消える事はないが、
『人より生まれた神』という存在は、
『信仰する者』あるいは
『存在を認識する者』が居てこそ存在する。

織田信長は、
御神体として奉る神社が
少ないながらも、
もはや、日本において
知らぬ者はいない存在ゆえ
いくら霊力を使おうとも
その力は、ほぼ無制限。

稲荷神の頂点に君臨する
九尾の狐にいたっては
シリウスの手に負えぬほどの
霊力を持っているようだ。

先ほど九尾が
どこからともかく出現させた
山吹の花枝や
この安土城も、そういった霊力で
創られているらしい。


「そ、そーゆー大事な事は
早く言って下さいよ…
ってか、お二人は俺の霊力
食べなくても、全然
余裕じゃないですかぁー」


そう言えば、
頭の上のトンが、
ひとまわり大きくなり
重くなったような気もする。
その上、常時微量の霊力を
トンに吸われているので

「いや……むしろ…分けて下さい…(T_T)」

なんだか、どっと疲れて
彼はその場にへたりこんだ。


「フ……まぁ……よかろう」


それを横目で見ていた信長は
桃を食べ終え、満足したのか

「これより存分に
働いて貰わねばならぬ
大事な手駒でもあるしな」

と、言うと
食べ終えた桃の種を
ポイっと、天守の床に投げ捨てた。

そして、手をかざす。

すると…桃の種がひょこっ芽吹き、
土も無いのに
にょきにょきと床に直接根を張り、
あっという間に天井に届くほどの
樹となり、満開の花を咲かせた。
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