ヴァルハラ☆トライアル

『おや？ 今どき珍しいですねぇ
蓮華の花を咲かせましたか。

前世はよほど………』

男は透き通るような
やさしい声で語りかけてきた。

「よほど………？」

自分の事が、
まるで思い出せない
彼はごくりと息をのんだ。

(俺って……相当な…大物だった…とか？)


『よほど………

…水田の多い
ド田舎に生まれ育ったのでしょうね』

「ほっとけ!!!!」

と、なんだかバカにされたようで
とっさに返してしまったが
男は『ふふっ』と、にこやかに笑う。
(まったく悪気はないようだ…)

その男は２メートル近くの高身で、
風になびく、サラッサラの髪は
シルクのように黄金に煌めき、
シュッとした、目
シュッとした、鼻
シュッとした、口元
シュッとした、非の打ち所のないイケメン…

真っ白に、金糸で刺繍された
聖職者のような…でも軍服のような衣服に、
手には杖のような物を持っていた。
そして背中には…


６枚の翼…………

「 だ 大天使……」

『少し思い出しましたか？
私はここで
死人の魂を、案内しております。

シリウスと申します。
地上には降りた事はないのですが…

……まぁ、何度もお会いしてるんですけどね』