クール王子ととろける溺甘♡同居

「あ、そろそろ時間だ」

スマホのロック画面を確認して希夜くんがそういうと、彼の行った通り、チケットを持ったお客さんたちがぞろぞろと集まってくる。

「行こっか」

希夜くんの声にコクンと頷いてから、係員の人にチケットの半券を切ってもらうために、列へと並んで。

ワクワクは最高潮。

無事に入場することができて、指定された席に座っても、楽しみのドキドキは収まることを知らない。

アニメ映画だから、子供が多いかもなんて思っていたけれど、周りをぐるっと見回す限り、友達同士の人たちやカップルも何組かいて。

……私と希夜くんは周りからどう見られてるんだろう、なんて考えちゃう。

っていうか、もし学校の人たちにたまたまあったら、希夜くんとの関係をなんていう?!

「小山さん」

頭の中でぐるぐると一気にいろんなことを考えてると、希夜くんに不意に声をかけられて顔を上げる。

「すげぇ、楽しみだね」

目を少し細めて笑う希夜くん。

まるで、周りのことなんて気にしないで目一杯楽しんでって言われてる見たいな。

私が、うん、と返事をしたタイミングで、照明が消えて暗くなり、映画がスタートした。
< 101 / 275 >

この作品をシェア

pagetop