クール王子ととろける溺甘♡同居
「あ、ごめん。自分でも不思議。小山さんとならもっとどこかへ行きたいって思う。普段はあんまり外出したいタイプじゃないんだけど。……小山さんはすごく楽しませてくれるから」
「……っ、そ、そんなこと」
「あるよ」
っ?!
こちらをまっすぐ見てそう言った希夜くんが、突然、私の右手を手に取った。
「希夜くん?!ここ、外」
ギュッと握られた手と彼の顔を交互に見ながらアワアワとするけど、希夜くんはそんな私にお構いなしって感じで手を離そうとしない。
男の子に慣れるために希夜くんに手伝ってもらうって話だけど、ここは外でたくさんの人がいるわけで。
恥ずかしくて顔が熱い。
「恋人ができたらこういうの普通にすることだし、外でも慣れておかないと」
「……っ、」
そりゃ、そうだけれど。
心の準備もなにもないまま急に繋がれたら、びっくりしちゃうよ。
「あとは単純に──────」
そう言いかけた希夜くんは、なにやらグッとその後の言葉を飲み込んでから、
「やっぱりなんでもない。暗くなる前に帰ろっか」
なんて優しく笑ってから歩き出した。