クール王子ととろける溺甘♡同居
「……小山?」
っ?!
突然、後ろから聞こえた聞き覚えのある声に、足が止まった。
『ごめん、急に呼び出して』
『ずっと、気になっててさ、小山のこと』
昔の記憶が蘇って、心臓がバクバクとうるさい。
せっかく忘れられていたのに。
心のどこかではまだ、そんなこと有り得ない、あるわけない、と思いながらゆっくりと後ろを振り返る。
「やっぱり、小山じゃん」
そう言ってクイッと上がった口角。
ストレートマッシュヘアに少し長めの前髪から覗くアーモンドアイ。
私の人生を狂わせたと言っても過言ではない人物が、今、目の前にいる。
「久しぶり」
「……っ、」
再び声をかけてきた彼から、やっと一歩後ろに下がることができた。
それでも、うまく言葉が出てこない。
こんなところで、再会してしまうなんて。
「綺麗になったね」
私の気持ちなんかおかまいなしに、平然と話しかけてくる彼に、ゾッとする。
あんなことがあったのに、なんでこんな風に話しかけて来れるんだろうか。
そもそも、私のこと覚えてたんだ。
二見 椿くん。
私が男性不信のキッカケになった、張本人だ。