クール王子ととろける溺甘♡同居

「小山」

っ?!

聞き覚えのある私の名前を呼ぶその声に、足が止まった。

声のした方を見ると、研修棟の壁に寄りかかった二見くんがこちらを見て立っていた。

なんで……声かけてくるの。

どうせまたからかおうとしているんだ。

関わるとろくなことないに決まってる。

そう思って、目をそらして再び部屋に向かって歩きだすと、

ガシッ

っ?!

手首を強く握られて、歩くのを止められた。

「ちょ、離し──────」

「シカトとかいい度胸してんじゃん」

グイッと彼の顔が近づいてきた。

「な、なに……」

とっさに顔を背ける。

「久しぶりに会えたのに再会の喜びに浸ってくれないわけ?」

はい?!
喜び?

この人、私と何があったのか忘れてるの?
なんでそんな言葉が出てくるのよ……。
私は二見くんのせいで……。

「すげぇ色気付いてんじゃん……腹立つ」

「は……?」

「風の噂で聞いたよ。小山、男性恐怖症なんだってな。まぁあの日から大人しくなってたし、やっぱりっていうのはあったけど」

「……っ、」
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