クール王子ととろける溺甘♡同居
考えたくないのに、腕を掴まれた力とか耳にかかった声とか、飲み込もうとする瞳とか、全部がいちいち鮮明に思い出される。
ちゃんと好きだったんだって再確認してしまったからより、悔しかった。
あんな風に触れてくるなんて。
人のことをバカにしすぎたよ。
下のフロアにある先生の部屋に、記録カードを渡しに行くために足を速める。
係の仕事をさっさと終わらせて、早く寝よう。起きてたら余計なことばかり考えちゃうから。
コンコンッ
下に降りて、すぐ目の前の部屋をノックすれば「はーい」と明るい声が聞こえてきた。
「Aグループの小山です。記録カードを持ってきました」
「あ、はいはいちょっと待ってね〜」
ガチャっと開けられたドアから先生が顔を出して、「どうも〜」と記録カードを受け取った。
「では、失礼しま──────」
「あ、小山さん」
会釈して部屋を後にしようとしたら、声を遮られて先生に名前を呼ばれた。
「はい……?」
「須永くんのこと、よろしくね?」
「えっ……」
どうして今、先生の口から希夜くんの名前が。
しかも、よろしくって?