クール王子ととろける溺甘♡同居
ライバルと恋心
「小山さんっ!!」
突然、勢いよく開けられたドアと焦ったような声が救護室に響く。
「希夜くんっ?!」
目の前に立っていたのは、ハァハァと息を切らした希夜くん。
額にはじんわりと汗をかいていて、いつも涼しそうな希夜くんにそれが似合わない。
まるで、大急ぎで来たみたいな。
「ど、どうしたの?」
「いや、こっちのセリフだよ。小山さんが救護室に行ったって聞いたからびっくりして……」
そう言いながら、私の向かいに座る二見くんに気付いた希夜くんの眉毛が、ぴくりと動いた。
「あ、ごめんね。私は付き添い。二見くんが怪我しちゃったから様子見てたの。一応、保健係として。」
「……」
「どーも、二見椿です。小山がお世話になってます」
「は?」
自己紹介をした二見くんに、希夜くんが小さく呟いた。
いや、そりゃ「お世話になってます」なんて言われちゃ、反応に困るよね。
全く、二見くんったら、紛らわしい言い方するんだもん。
少し前から彼のそういうところにムカついていたのかもだけど、今は随分、落ち着いていられる。