クール王子ととろける溺甘♡同居

「わかった、それなら、もう辞めたほうがいいね、こういうの」

希夜くんは、私の手に指を絡ませてきたかと思ったらすぐにそれを解いた。

「えっ……」

彼は私の頭に優しく手を置いてから、そのまま横を通り過ぎて、行ってしまった。

希夜くんの言ってる意味はわかったけど、引き止めることができなかった。

二見くんのことをまた意識しはじめたとかそういうことじゃない。

全然違う。

過去をいつまでも引きずってぐずぐずしてる自分に、その資格はないと思ったから。

本当は、もっと希夜くんの優しさに甘えたくてたまらない。

出会う前はなんてことなかったのに、一度、その優しさに触れると、後戻りできなくなって。

希夜くんが、私のことを本当はどう思ってるかなんてわからないけれど、

こんな気持ちのままじゃ、まだ前に進んじゃいけないんだ。
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