クール王子ととろける溺甘♡同居
「……希夜くんが、意地悪だから」
「そんな顔する小山さんの方が意地悪だよ」
お願いだから、その甘い声で私の耳元に話さないで。
希夜くんは、誰か大切な人がいるんでしょう。
何でもない人ならすぐにでも言ってくれるはずだよ。こうやってなかなか言いたがらないのはきっと……。
「……期待、しちゃうじゃん」
「へっ……?」
希夜くんが少し身体を離して、顔を背けてから微かに発した言葉。
よく聞き取れなかった。
「あの、希夜く……」
パチッ
「希夜まだ起きてるの〜?明日学校よ〜?あれ、誰もいない……」
っ?!
突然、電気のスイッチが入れる音が聞こえたかと思うと、階段の下の方から光が見えて、同時に恵美さんの声が聞こえた。
私たちの話し声で、起きてしまったのかな?
ど、どうしよう!
「おいで」
「えっ、ちょっ、」
自然に引かれる手首に戸惑いながらも、希夜くんに言われるがまま、恵美さんから隠れるように彼の部屋へと逃げ込む。
「あー、今からすげぇ悪いことしそうなの、完全に小山さんのせいだから」
希夜くんはそう言って、パタリと静かにドアを閉めた。