クール王子ととろける溺甘♡同居
「……大切な人?」
声をほんの少し荒げてしまった私に比べて、ポカンとした顔をしながらそういう希夜くん。
大事なところを知らないふりするなんて、どこまでも意地悪だよ。
「さっき、私が一緒にいるの見たって言った女の子。最近、希夜くんの帰りが遅いのだってその子が原因でしょ?」
私は、希夜くんから顔を晒して体を起こしながらそう聞く。
「……えっ、まぁ、そうだね」
「……っ、」
本人の口から出たその答えに現実を痛感して。
今すぐこの部屋から出て行きたいって思う。
ただでさえめんどくさい女だったのに、ここで泣いたらさらにめんどくさいって思われちゃう。
これじゃあ、彼女がいるって言われてるようなものだし。
年頃の男女が、定期的に放課後に会うような仲でそれ以外の理由なんてあまり聞かない。
「好きな人がいるなら、もうこんなこと……」
「……俺の好きな人は、小山さんだけだって言っても、こんなことするの、ダメ?」
「……えっ、?」
希夜くんの少し熱くなった手のひらに頬を包まれたまま、私は固まってそう声を出すことしかできない。