クール王子ととろける溺甘♡同居
希夜くん、今なんて?
オレノ、スキナヒトハ、コヤマサン、ダケ?
「……ダメだ。振り向かすための駆け引きとかできもしないのにしようとするもんじゃない」
「えっと、き、希夜くん?」
ガシガシと後頭部をかき、目線をそらしながらぶつぶつと話す彼の名前を呼ぶ。
「山並 美和さん」
「……っ、」
唐突に呟かれた見知らぬ女の子の名前。
その名前が、今日、希夜くんが一緒にいた女の子だってことは、説明されなくてもわかる。
「同じクラスの山並の妹。今年受験生なんだって。それで、勉強見て欲しいって頼まれて。今週から家庭教師を」
「か、家庭、教師……?」
まさかの答えに驚きで固まってしまう。
「うん。今日は山並さんの学校が終わるのが遅かったらしくて、向かってる途中にたまたま道で会ったんだ」
「そ、そうだったの?」
「俺の言うこと信用できない?山並に聞いてもらっても構わないけれど」
そうやってこちらをまっすぐ見つめてくる希夜くんの目は、嘘をついているとは思えない。
でも……。