クール王子ととろける溺甘♡同居
聞き覚えのある声が、ざわざわと賑わう人混みの中からはっきり聞こえた。
声が聞こえたこと思えば、両肩にトンと手が置かれて。
「捕まえた」
耳元でそう声がして。
恐る恐る振り返ってみれば……。
「……二見 椿!」
私が振り返ってその人物の顔を確認したのと同時に、隣の舞子が声を出した。
「なんで……二見くん……」
「なんでって、スタンプラリー参加者だから、赤ずきんちゃん探したんだ。たまたまだよ。後ろ姿見ただけで、小山ってわかったけど」
「あんた、どの面下げて花純に会いに─────!」
「え〜ふたりとも可愛いねー!椿、知り合いなの?紹介してよー!」
「……っ、」
舞子がギッと二見くんを睨んだのなんておかまいなしに、二見くんと一緒に来ていたらしい友達が騒ぎ出す。
「元カノ」
「えっ?!元カノ?!」
「ちょっ、」
なんでもないことみたいに平然と答える二見くんに、思わず固まってしまう。
言っちゃうものなの?