クール王子ととろける溺甘♡同居
「希夜くんはすごいね。はじめっから元がいい人は違うな〜」
「……え?」
「希夜くん、学校の先生とか将来いいかもしれないね。教えるのすごく上手だし。すぐに人気者の先生だよ。やっぱり、生まれ持った才能だね。……なんて」
途端にベラベラとしゃべり出す自分の口に、自分が一番びっくりした。
なんの才能もない自分と特別な希夜くんを比べて虚しくなったからかもしれない。
そんな自分の気持ちを隠すみたいに。
「……」
私のセリフに希夜くんがあまりにも何も言わないので、思わず顔を上げると、
「き、希夜くん?」
こちらから目を離してそっぽを向いたままの彼が目の前にいた。
「……へー、小山さんって俺のことそんな風に思ってたんだ」
「えっ」
希夜くんが、少し下唇を噛んだのがわかった。
明らかに、低くなった声のトーン。
「小山さんには、そんな風に思われたくなかった」
「えっ、ちょ」
希夜くんは、私の顔を一回も見ることないまま、二階へと続く階段を上っていった。