クール王子ととろける溺甘♡同居
「花純はさ、もしあいつにまた会うことがあったら、どうする?」
「……えっ、」
『あいつ』
舞子のその声に、すぐに昔の思い出がフラッシュバックする。
強く握られた手首に、ニヤッとあげられた口。
「どうするって……会わないよ絶対」
「人生何があるかわかんないよ。ばったり会うなんてことあるかも。向こうが謝って来たら?なんて言う?」
「……そんなの、」
キーンコーンカーンコーン
答える前にSHRが始まるチャイムが鳴った。
舞子に「また後で」と言われて、私は身体を前の方へと向ける。
正直、さっきの質問の答え、うまく答えられなかったからちょうどチャイムが鳴ってホッとした。
もし、向こうが謝って来たら、なんて考えたことなかった。
別れた後だって向こうが話しかけてくるそぶりななんてなければ、すぐに新しい彼女が出来たって噂を聞いたし。
私のことは本当にただの遊びだったんだって再確認できて。
それからは、まるでその頃の期間を忘れるかのように思い出すことを出来るだけやめていたから。
でもきっと、謝られても、あんなの、心から許せるとは思えない。