また、いつか
一
「今日は何をされていたのですか?」
部屋に入りながら治憲(はるのり)がたずねると、幸姫(よしひめ)は頬を染めながらニッコリ笑った。
彼女の前には手作りの人形が何体も並んでいて、人形遊びをしていたことがわかる。
全部、治憲が幸姫の為に自ら縫ってやったものだ。
幸姫はその中の一体を手に取ると、治憲の方に突き出した。
「よし」
そう言ってさらにニッコリ笑う。
「?」
治憲は突き出された人形を手に取ると、その顔を見て目を見開いた。
「…これは、姫ですか?」
「はい」
「ああ…、なんて上手に描けているんでしょう。
姫にそっくりですね」
その治憲の言葉に幸姫は嬉しそうに微笑むと、もう一体人形を取り上げ、彼の方に向けた。
「との」
「…え…?」
治憲が人形の顔を覗き込む。
「との」
「これは…、私ですか?」
「よし、との」
幸姫が2体の人形を寄り添わせるように並べた。
「ああ…、幸せそうですね」
そう言うと、治憲の瞳から涙が一雫こぼれた。
部屋に入りながら治憲(はるのり)がたずねると、幸姫(よしひめ)は頬を染めながらニッコリ笑った。
彼女の前には手作りの人形が何体も並んでいて、人形遊びをしていたことがわかる。
全部、治憲が幸姫の為に自ら縫ってやったものだ。
幸姫はその中の一体を手に取ると、治憲の方に突き出した。
「よし」
そう言ってさらにニッコリ笑う。
「?」
治憲は突き出された人形を手に取ると、その顔を見て目を見開いた。
「…これは、姫ですか?」
「はい」
「ああ…、なんて上手に描けているんでしょう。
姫にそっくりですね」
その治憲の言葉に幸姫は嬉しそうに微笑むと、もう一体人形を取り上げ、彼の方に向けた。
「との」
「…え…?」
治憲が人形の顔を覗き込む。
「との」
「これは…、私ですか?」
「よし、との」
幸姫が2体の人形を寄り添わせるように並べた。
「ああ…、幸せそうですね」
そう言うと、治憲の瞳から涙が一雫こぼれた。
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