横顔が綺麗なあの子の素顔
「……もしもし」
「遅い!!!」
耳痛いってお母さん…
「ごめんなさいお母さん、ちょっと電車に乗り遅れちゃいまして…」
「言い訳はよろしい。今日あんた家の鍵忘れたでしょ?」
そうだ、電車に乗ってから鞄に入ってないことに気付いたんだった
「うん、忘れちゃいました…」
「忘れちゃいましたよね~?でもお母さんもう寝るから、どっかで野宿してきなさい」
…野宿ねぇ。
「…はぁ?!何言ってるの?!そんなのできるわけないじゃない!」
「最初からできないとかいう子に育てた覚えはありません。明日の仕事に必要なものは持ってるでしょ?じゃあね」
ブチっ
「…だ、大丈夫?」
「大丈夫…ではないですかね…」
心配そうに聞いてきてくれた
「もしかして親御さんだった?」
「はい……遅いって怒られてしまいまして…笑」
「…そうだよね、もう夜中だから送っていくよ!」
家どこ?と、杉野さんが聞いてくれたのだけど…
「……ありがとうございます。でも、家を閉め出されてしまったので、大丈夫ですよ!」
さすがに野宿はやばいから、他の方法を探すけど…
「んぇ?!家閉め出されたの?!」
「あはは……、今日家の鍵を忘れちゃって…母がもう寝るから野宿しろと。笑
あ、でも近くに24時間営業のファミレスがあるのでそこに行きます」
ここが栄えているところでよかったよ本当。
皆さんにお礼を言って事務所を後にしようとすると、
「ちょちょ、まって!なあ大輝、家泊めてあげられないの?」