焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
―――――――――
――……
「こんにちは」
「いらっしゃい、和花菜ちゃん」
マスターが迎えてくれるこの場所は、第三の我が家になりつつある。
実家と、上京してきて借りてるマンション、そしてここ。
今の時代、色んなものが目まぐるしく変わっていく。人の歩く速度から会話、報連相のスピードまで。
「ジン・トニックをひとつ、お願いします」
「かしこまりました」
でもこの空間はそれらを断ち切って、ゆったりした時間に身を置ける。
今日はマスターと如月さんっていう成宮さんより年上のバーテンダーさんしかいない。
成宮さんは今日休みの日なのかな?
彼がいる日を狙ってきてるわけじゃないから、今までもこういうことはあった。
でもふたりで遊びに行った日以来、余計彼の存在を気にしてしまって。