焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
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「んー、もう11時か」
午前だけ有給を使って休むことにしていたから、いつもよりだいぶ遅い起床。
朝ごはんの時間でもないけど昼でもない微妙な時間。
ごはんを作ることすらもはや面倒で、コンビニで買おうと適当な格好に着替えてドアを開けたら。
「いいわよ、ここで」
隣の部屋のドアも開いて、けれど聞こえてきた声は成宮さんのものではなかった。
艶のあるロングヘアにモデルのようなスタイル。
間違いなく、前にスーパーの前で見た人だ。
「いいじゃない。また近いうちに来るから」
女の人がパタン、とドアを閉めると同時に、動けないでいた私と目が合った。
「こんにちは」
「……こんにちは」