焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「今日のドレス、可愛らしいのに品があってとても素敵です」
誰もが見惚れるような微笑みに、嬉しくならないはずがない、的確な褒め方。
「ありがとう……ございます」
普通に接しようとしても、数日前のあの姿がちらついてぎこちなくなってしまう。
「今日はお客様も多くいらっしゃいますので、せっかくですし話しながら飲むのもいいと思いますよ」
私がこんな隅にいるから心配してくれたのか。
本当によく周りをみてる人だな。
「……成宮さん、前に」
「ちょっと樹季ー!探したじゃない」
あのことを聞いてみようと名前を呼んだ瞬間。
別の高い声が遮った。
身体のラインが分かるタイトなドレスに腰まで長いブラウンの髪。
さらに白い肌と対照に赤く潤んだ唇。この人って。