焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新

「インぺリアルフィズって何ベースなんですか?」

「これはウイスキーベースで、レモン風味の甘いカクテルなんだ」

「あれ、瀬戸さんって甘いお酒がお好きでしたっけ?」

勧めてくれるってことは、瀬戸さんがこのお酒をよく飲むからだと思ったけど。

イメージに合わない。

「はは、好きってわけじゃなくてたまに飲むくらい。俺がインぺリアルフィズを頼んだのは、清水が相手だったからだよ」
「私が?」

「せっかく良い雰囲気のバーにいるんだからさ。悲しい顔してないで、"楽しい会話"をしたかったから」

『楽しい会話』の部分を強調して言われる。

きっとこのカクテルはそういう意味なんだ。

「すみません、気を遣わせてしまって」

「謝らなくていいって。その代わり、笑って」

瀬戸さんは本当に面倒見がいい人だ。
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