焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「和花菜さんみたいに責任感が強くて真面目な方だからこそ、任せたんでしょうね」
さすがバーテンダー。相手が言われて嬉しいと思う言葉選び。
こういう時サラッと褒められると、単純な自分はすぐに絆されてしまう。
「ご注文は何になさいますか?いつも通りジン・トニック?」
自分から言わずとも、最初の一杯はジン・トニックを頼むって知ってくれていた。
多分、マスターやバーテンダーさん同士である程度情報は共有するようにしているんだろう。
こういう細かい部分まで行き届いた接客も、お店が人気な理由のひとつなんだと思う。
「はい!ジン・トニックでお願いします」
「かしこまりました」
成宮さんの手元には既にシェイカーやトニックウォーターが用意されていて、すぐに提供できるようにという配慮がなされていた。
すごいなぁ。
前と同じようにシェイカーを振るときの手首、身体のライン、余裕のある表情に釘づけだ。
どこをとっても完璧。
「……お待たせいたしました。ジン・トニックです」
「えっ、すごい綺麗!」
差し出されたグラスの中身を見て驚く。普通、ジントニックは透明。