焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新

「和花菜さんみたいに責任感が強くて真面目な方だからこそ、任せたんでしょうね」

さすがバーテンダー。相手が言われて嬉しいと思う言葉選び。

こういう時サラッと褒められると、単純な自分はすぐに絆されてしまう。

「ご注文は何になさいますか?いつも通りジン・トニック?」

自分から言わずとも、最初の一杯はジン・トニックを頼むって知ってくれていた。

多分、マスターやバーテンダーさん同士である程度情報は共有するようにしているんだろう。

こういう細かい部分まで行き届いた接客も、お店が人気な理由のひとつなんだと思う。

「はい!ジン・トニックでお願いします」

「かしこまりました」

成宮さんの手元には既にシェイカーやトニックウォーターが用意されていて、すぐに提供できるようにという配慮がなされていた。

すごいなぁ。

前と同じようにシェイカーを振るときの手首、身体のライン、余裕のある表情に釘づけだ。

どこをとっても完璧。

「……お待たせいたしました。ジン・トニックです」

「えっ、すごい綺麗!」

差し出されたグラスの中身を見て驚く。普通、ジントニックは透明。

< 14 / 242 >

この作品をシェア

pagetop