焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新

「成宮さんって、何でもできちゃうんですね」

「そんなことないですよ。失敗することだってあります」

「本当ですか?想像できないなぁ」

要領よく色々なことをこなしてるイメージの方が大きい。

「あはは、買い被りすぎ。僕だって人間ですからね」

「成宮さんに謙遜されちゃうと困りますよ。私も成宮さんみたいにスマートな対応が出来るようになりたい」

カクテルを喉に流し込む。

「はぁ……、先輩からも視野が狭くなってるぞって注意されちゃって。もっと意図的に余裕がある態度でいないとダメですね」

関わってる案件であれこれと作業しているうちに余裕がなくなってて、先輩に諫められてしまった。

そこで気づかせてもらってからは持ち直して無事山場は越えたものの。

「一生懸命やろうとするほど、沼にハマって抜けられなく時ってありますよね」

成宮さんは懐かしむように目を細めた。留学した頃を思い出しているのかも。

「自分では周り見てるつもりでも、他の人はもっと高い場所から全体を見渡してる」

「そういう時自分であ、今ダメだなって気づけるようにならないと」

残りのジン・トニックを一気に飲みほして、空になったグラスを置いた。

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