焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
成宮さんが綺麗な人たちにひっきりなしに声をかけられているところを見て。
いいな、と。
嫉妬してしまった。
「いくら始めは大丈夫だからって言っても。どんどん束縛されていく」
もしかしたら、実際にそういう経験をしてきたのかもしれない。
「それに生活リズムだってなかなか合わないだろ。こんなんじゃ、相手に悲しい時間を過ごさせるだけだ」
「成宮さんも、私と同じですね」
「……何が?」
「いくつも予防線を張って、憶病なところ」
お見舞いにきたとき、成宮さんに自分たちは似てるなって言われた。
仕事面で言えばの話だと思ったけど。性格も、似てると思う。
「和花菜には俺がそう見えるのか」
「当たってます?」
「ハズレではない」
それは当たってるっていうんですよ。
「でも成宮さんの場合は、自分が傷つきたくないっていうより相手を傷つけたくないから。いつでも先回りして予防線を張るんですよね」
最後のひとくちを飲み干す。美味しかった。