焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「今のマスターとは別の方ってことですか?」
「そう。おじさんの仕事みて憧れて、これなら俺のどうしようもない癖も活かせるんじゃないかって思った」
気味が悪いと拒絶された能力を、人を笑顔にするために活かせる。
おじさんはもうバーテンダーを辞めてしまったけど、たまに成宮さんが働いてるあの場所に来るそうだ。
「それを優しさだ、とか。おじさんにも言われたことなかったわ」
「本当のことですし。だから、優しくしないでください」
「和花菜」
困ったように眉を下げる。
この表情は、今までも何度か見てきた。
呆れられたかな。
「私は……優しくされなくてもいいです」
成宮さんならこれがどういうことか、分かるはず。