焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「………っ」
「2人様でよろしいですか?お好きな場所にどうぞ」
私が瀬戸さんとお店に来ても、成宮さんは驚いた様子もなく完璧な笑顔と接客。
私が男の人と2人なのに、まったく気にする素振りをみせないことにジクリと胸が痛む。
前までならその笑顔を向けてくれて嬉しかったのに、今は逆だ。
「まずは何頼もうか。和花菜は決まってる?」
「あ、私は」
「和花菜さんはいつも通りジン・トニックですよね」
「はっはい。お願いします」
「へぇー。いっつもそれ頼むのか。なら、俺も同じもので」
「……かしこまりました。少々お待ちください」
カウンターの中央寄りに座ったから、成宮さんのカクテルを作る姿が目の前にある。
こんな形で会うとは思わなかった。
私と瀬戸さんは、成宮さんにはどんな風にみえてるんだろう。