焦がれる夜に、あなたのキスを。【完】番外編更新
「っ、わ」
コートを着せてもらっていると冷たい手が首筋に当たり、思わず変な声が出てしまう。
「髪がコートの中に入ってしまうので、どかしますね」
「あ、りがとうございます」
成宮さんの指が後ろ髪を梳いて、綺麗に整えてくれる。
自分でやるよりも丁寧な扱いをしてくれるから、なんだかいたたまれなくなる。
「はい。お待たせしました」
「すみません」
「いいえ」
成宮さんと数秒、視線が絡み合う。
何か話したい、そう思うけど言葉が出てこなくて見つめたままでいると瀬戸さんがスッと間に入った。
「じゃあ俺達はこれで。ごちそうさまでした」
「楽しんでいただけてなによりです」
「行こう、和花菜」
成宮さんと瀬戸さんに一瞬、妙な間が空く。
でもすぐに笑顔に戻って瀬戸さんに手を引っ張られた。
お店を出て少し歩いたところで、手を離される。